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リメンバーミーの会

2018.10.22

はじめまして。8月より入所いたしました有田と申します。よろしくお願いいたします。

こちらでのお仕事をさせていただく中で、ふと思い出したことがありますので、長くなりますが、書かせていただきたいと思います。

今から1年前、自宅に1枚の葉書が届きました。それは、10年ほど前に数ヵ月間だけ一緒に働いたAさんが、その年の春に亡くなったことを知らせるものでした。私にとって、自分自身が親交のあった方が亡くなるという経験はほとんど初めてでした。

当時、結婚上京して初めての仕事を始めた矢先、第一子の妊娠がわかりました。私より20歳ほど年上のAさんに不安な気持ちを打ち明けたり、超音波画像の写真を見せてお腹の赤ちゃんが成長していくのを一緒に喜んだりしました。短期の仕事を終え、出産の後も連絡を取り合い、子どもが初めて自分の足で立った日も、Aさんの笑顔が隣にありました。
それから数年、私自身が仕事や子育てに追われ、Aさんとは年賀状をやり取りするだけの間柄になってしまいました。
葉書を見て、Aさんに対するお礼やお返しを今まで先伸ばしにしてきたことへの後悔と、亡くなったことを知ったショックとで呆然となり、当時の同僚たちに知らせることができないまま、時が経ちました。

そんな中、昨春、映画「リメンバーミー」を見て、死者の世界で、住人が誰からも忘れられることでその存在が消滅する場面を見て慄然としました。そして、Aさんのことが頭に浮かびました。勿論、私以外にもたくさんの友人知人に恵まれ、ご家族からも惜しまれながら亡くなったであろうAさん。大丈夫、と自分に言い聞かせながらも、劇中何度も出てくる「リメンバーミー」という曲が「私を忘れないで」というAさんからのメッセージのように感じました。

私は当時の同僚や、数年前に知り合ったAさんと働いたことがあるという方に連絡を取り始め、Aさんを偲ぶ会「リメンバーミーの会」を開くことにしました。亡くなってちょうど1年となる4月、数人が集まり、Aさんと一緒に働いていた時のエピソード、最後に会った時の様子などを話しあいました。久しぶりの再会という方もいたため、同窓会のような和気あいあいとした雰囲気になり、私が当初思い描いていたようなしんみりとした会にはなりませんでした。私も含めてそれを不謹慎ではないかと感じる方もいたのですが、おおらかで優しかったAさんのことなので、きっといつもの笑顔であの場にいたのではないかなと思います。

こちらに入所してまだ日が浅いのですが、人が亡くなるということに対して、いろいろな思いや感覚を大事にしながら、これからもお仕事に励んでいきたいと存じます。

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